2009-01-01から1年間の記事一覧

バギュウキンキョ

馬 牛 襟 裾 学識がない者。 馬や牛が衣服を着ているという意味から、無教養で礼儀知らずのことをいう。 「牛溲馬勃」「牛糞馬涎」「襟裾馬牛」ともいう。 ★ 韓愈「符読書城南」が出典である。 《人不通古今、馬牛而襟裾》 (人の古今に通ぜざるは 馬牛にし…

ユウジュウフダン

優 柔 不 断 ぐずぐずしていて物事の決断が鈍くはっきりしないこと。 「意志薄弱」「薄志弱行」「遊移不定」「優柔寡断」「優遊不断」ともいう。 ★ 坪内逍遙『当世書生気質』に用例がある。 《将たる者に優柔不断は禁物、剛毅果断でなければならぬ。君の優柔…

イクドウオン

異 口 同 音 皆が口を揃えて同じことを言うこと。皆の意見が一致すること。 「異口同辞」「異口同声」「異人同辞」「衆議一決」「衆口一致」「満場一致」ともいう。 ★ 『宋書』が出典の一つであるようだ。 《今之事跡、異口同音、便是彰著、政未測得物之數耳…

ゴウカケンラン

豪 華 絢 爛 贅沢にきらきらと輝き、目がくらむほどに美しいこと。 「華麗奔放」「錦繍陵羅」「絢爛華麗」「絢爛豪華」「荘厳華麗」「荘厳美麗」「壮大華麗」「美麗荘厳」ともいう。対義語は「簡古素朴」。 ★ 谷崎潤一郎「陰翳礼讃」に用例がある。 《古えの…

コウジンバンジョウ

紅 塵 万 丈 都会に多くの土埃がたちこめるさま。世俗のひどくわずらわしいこと。単に「紅塵」とも。 なお「黄塵万丈」(http://d.hatena.ne.jp/Cixous/edit?date=20091116参照)は音は同じなので類縁性はあるが、別語であると考えたい。 ★ 幸田露伴が娘・文…

コウジンバンジョウ

黄 塵 万 丈 黄砂が風に乗って空高く舞い上がっているさま。あるいは、砂煙が空高く舞い上がっている戦場の様子。*1 ★ 志賀重昂『日本風景論』に用例がある。長くなるが、引用する。 《支那の如き、北方は一面第四紀地層に係り、平々たる水成岩延縁すること…

セイシンセイイ

誠 心 誠 意 偽りのない純粋な真心。「誠意誠心」ともいう。 ★ 福沢諭吉『福翁百話』に「誠意誠心」の用例がある。 《天下の事を憂ひて誠意誠心一点の私なし》 ただの本心ではなく、私利私欲がないことが「誠心」であり「誠意」なのである。 ★ 「誠心誠意」…

ドクリツフキ

独 立 不 羈 他に依存することなく、自分ひとりの所信で決断・行動すること。 「独立独住」「独立独歩」「独立独行」「不羈自由」「不羈自立」「不羈独立」「不羈不絆」「不羈奔逸」「不羈奔放」「不屈不絆」「放縦不羈」「奔放不羈」など類義表現は枚挙に暇…

バジトウフウ

馬 耳 東 風 他人の意見に心を止めず聞き流すこと。無知のため理解できないこと。何を言っても無関心で反応がないこと。「呼牛呼馬」「対牛弾琴」「対驢撫琴」「馬の耳に念仏」「東風馬耳を射る」ともいう。 ★ 李白「王十二寒夜独酌に懐ひ有りに答ふ」が出典…

ジクロセンリ

舳 艫 千 里 多数の舟がはるか彼方まで連なっていること。「舳艫相銜」ともいう。 一説によれば「舳」は舟のへさき(舟首・船首)で、「艫」は舟のとも(舟尾・船尾)のことをいう。「舳」が船尾で「艫」が船首という説もある。「舳船後持梶処。艫船頭刺櫂処…

キショウテンケツ

起 承 転 結 文章の構成。物事の順序。 元は漢詩の構成法で、まず詩意を起こし、次にそれを受け発展させて、さらには場面や視点を転じ趣を変えて、最後に全体をまとめ締めくくる。中国語では原典に忠実に「起承転合」という。 ★ 『詩法源流』が原典であると…

カンコンソウサイ

冠 婚 葬 祭 慶弔の儀式。四大礼式。 「冠」は冠礼すなわち元服を、「婚」は婚礼を、「葬」は葬儀を、「祭」は祖先を祭る祭礼を表す。 原典に合わせて「冠昏喪祭」と書くこともある。中国語では「冠婚喪祭」と記す。 ★ 『礼記』〈礼運〉が原典である。 《其…

フテンソット

普 天 率 土 天が覆い、地の続くかぎりのすべての地。全世界。 「率土之浜」「普天匝地」ともいう。 なお「率」を「卒」とする例が少なくないが、それらは書き誤りである。 ★ 『詩経』小雅・北山が出典である。 《 溥天之下 莫非王土 率土之濱 莫非王臣 》 …

シンタイハップ

身 体 髪 膚 からだのすべて、全身。 「しんだいはっぷ」や「しんていはっぷ」といった読み方もある。 ★ 『孝経』の開宗明義章が出典である。 《身体髪膚、之を父母に受く。敢へて毀傷せざるは孝の始めなり。》 (身體髪膚受之父母。不敢毀傷、孝之始也。) …

ジキショウソウ

時 期 尚 早 行う時期がまだ早すぎること。「尚早」の「尚」は「なお、まだ」の意。 対義語は「時機到来」。 ★ W・S・モーゼス「霊訓」(浅野和三郎訳)に次の用例が見える。 《若しもわれ等の述ぶる所が時期尚早で、採用を憚るといふなら、しばらく之を打…

カッカソウヨウ

隔 靴 掻 痒 靴を隔てて痒きを掻く。靴を隔てて跟を掻く。 思い通りにいかず、歯がゆいこと。もどかしいこと。じれったいこと。フラストレーションが募ること。「隔靴掻癢」「隔靴之憾」「隔靴之掻」「掉棒打星」「隔靴爬痒」とも言う。 対義語は「麻姑掻痒…

エイギョクインセイ

鄙 曲 淫 声 田舎くさくて、洗練されていない音楽のこと。 「雅曲正声に非ず」と同じ。 ★ 幸田露伴「音と詞」に用例がある。 《古来の鄙曲淫声は遠離せられ、天晴れ明治の瑞雲和気の間より雍々と煕々たる正楽の起るべき機運にむかへり。噫楽しい哉》 日本の…

ムショジュウシン

無 所 住 心 禅語。一点だけに集中するのではなく、心を空寂にし、注意が森羅万象に応じて全方位にあまねく漲り渡るようにする心構えを言う。類義語は「応無所住而生其心」(オウムショジュウ ニショウゴシン)、反対語は「一所懸命」「一点集中」である。 金剛般若教「応…

ウヤムヤ

有 耶 無 耶 1)あるのかないのか、判然としないこと。 2)いいかげんなさま。 もともとは禅の言葉で1の意だったが、いつしか2の意が派生した。 「耶」は疑問の助字。「ありやなしや」と読むこともできるし、「有哉無哉」と書くこともできる。 「曖昧模…

テンジョウムキュウ

天 壌 無 窮 天地の無限の広がりとともに、永久に不滅であること。「天地長久」「天長地久」「百載無窮」。 ★ 『日本書紀』神代紀が出典である。 《豊葦原千五百秋瑞穂の国は、是、吾が子孫の王たるべき地なり。爾皇孫、就でまして治らせ。行矣。宝祚の隆、…

センバイトッキョ

専 売 特 許 1)ある人の発明に対して、その使用権を一定期間、発明者および継承者に認めること。 「特許」「独占販売権」ともいう。 2)転じて、他には真似できない特定の人のみがなしうる特殊な技能を指すようになった。 「特技」「特権」「独壇場」「得…

ケイキョモウドウ

軽 挙 妄 動 深い考えのないまま、軽はずみな行動に出ること。 類義語は「軽佻粗暴」「軽慮浅謀」「短慮軽率」であり、対義語は「隠忍自重」「熟慮断行」「泰然自若」である。 ★ 頼山陽『日本政記』が出典である。 《軽挙妄動して、以て天下の老姦巨猾を図ら…

テンチワゴウ

天 地 和 合 天と地、陰陽両気が一致、和合すること。 「陰陽和合」「自他一致」「神人一致」「人類大和」「天地一指」「万物和合」ともいう。 ★ たとえば『荘子』に「天地一指也。」という一節がある。天地は一本の指であり、差別の世界を超越して見れば、…

ソウゴフジョ

相 互 扶 助 お互いに助け合うこと。「互助」と略すこともある。 「一致協力」「共存共栄」「協力一致」「相互依存」「相互協力」。 ★ もとはロシアの無政府主義者・クロポトキンの社会学説の中心原理の訳語。 進化論者・ダーウィンの思想が「生存競争」「自…

リュウレンコウボウ

流 連 荒 亡 仕事をせず、家にも帰らず、酒色や遊興に耽ってやまないこと。 「放逸遊惰」「放蕩三昧」「放蕩無頼」「遊惰放逸」「遊惰放蕩」ともいう。 ★ 『孟子』の諸侯を批判した言葉が出典である。 《流連荒亡、諸侯の憂ひと為る。流れに従ひ下りて反るを…

ハイトクボツリン

悖 徳 没 倫 道徳に背き、人としての道に外れること。「徳に悖り倫を没す」とも読む。 「背徳不倫」「背徳没倫」「悖徳乱倫」「非義非道」「不義非道」「不義不正」「不義不貞」「不義不徳」「不正不義」「不忠不義」「不貞不義」など、類義語は枚挙に暇がな…

モンゼンジャクラ

門 前 雀 羅 訪れる人がなく、寂れたさま。 「羅」は「網」のこと。もともとは「門前雀羅を張る」だったのが略されたもので、門の前に網を張れば雀がたくさん捕らえられるほど寂れているという意味である。対義語は「門前如市」「門前成市」。 ★ 司馬遷『史…

ジュウトオウマツ

縦 塗 横 抹 乱暴に書き殴ること。気ままに書いたり、消したりすること。 「抹」は「抹消」の「抹」で、塗り消すの意。 ★ 徳富蘆花「思出の記」に用例がある。 《得々の状は乱筆御判読も出来兼ぬる縦塗横抹の書翰紙に溢れ》 ★ ちなみに「縦塗横抹」は縮める…

フロウフシ

不 老 不 死 いつまでも若々しく、生きながらえること。「不老長寿」「長生不老」ともいう。 列御寇『列子』湯問の次の一節が出典である。 《珠玕之樹、皆叢生、華実皆有滋味、食之皆不老不死。所居之人皆仙聖之種。一日一夕飛相往來者、不可數焉。》 燕の王…

キョクショウヒガン

極 小 彼 岸 人が暮らす理想の場所、原型。Nirvana Mini。 「原点回帰」「故郷回帰」「小乗涅槃」とも言えるか。 島田雅彦「Nirvana Mini 極小彼岸」*1が出典である。以下は、その冒頭。 《人が暮らす理想の場所とはどういうものだろうか? 人類の神話には驚…