漢検一級

ドクガクコロウ

独 学 孤 陋 師匠に就いたり学友に交わったりせず一人で学ぶと、見聞が狭く独りよがりになるということ。 「独学固陋」とも書く。「孤陋寡聞」とも言う。 ★ 戴聖編『礼記』〈学記〉が出典である。 《獨學而無友、則孤陋而寡聞。》 (独学にして友無ければ、…

カンカンガクガク

侃 々 諤 々 遠慮なく意見を言い合い、議論が白熱する様子。忌憚なく、直言すること。 略して「侃諤」ともいう。「諤諤之臣」「議論百出」「剛毅正直」「談論風発」「直言極諫」「廷諍面折」「百家争鳴」「面折廷諍」ともいう。 ★ 孔子『論語』〈郷党〉を一…

テンシンランマン

天 真 爛 漫 屈託がなく、無邪気なさま。心の赴くままに行動し、明るいこと。 「純真無垢」「性命爛漫」「天衣無縫」「天真独朗」「天真流露」「無縫天衣」ともいう。 ★ 狷潔『輟耕録』が出典とされる。 《嘗て自ら一幅を写すに長さ丈余、高さ五寸許りなるべ…

キヨホウヘン

毀 誉 褒 貶 世間からほめたり、けなされたりされること。 「雲翻雨覆」「翻雲覆雨」ともいう。 ★ 木下尚江『火の柱』に用例がある。 《――姉さん、貴嬢は今ま始めて凡ての束縛から逃れて、全く自由を得なすつたのです、親の権力からも、世間の毀誉褒貶からも…

ワキアイアイ

和 気 藹 々 なごやかな気分が満ちあふれている様子。 「和気藹然」「和気洋々」ともいう。 ★ 李邕「春賦」が出典である。 《和気藹として寓に充つ》 和らいだ雰囲気が住まいに満ちているという意である。 ★ 谷崎潤一郎「月と狂言師」に用例がある。 《もっ…

シュンプウタイトウ

春 風 駘 蕩 春風がそよそよと気持ちよく吹くのどかな様子。 春風のように穏やかなさま。穏和でのんびりした人柄。 「春光駘蕩」「春色駘蕩」ともいう。「駘蕩」は「駘宕」と書くことも。 いずれにせよ「秋霜烈日」という四字熟語と、著しい対照をなす。 ★ …

ゴウカケンラン

豪 華 絢 爛 贅沢にきらきらと輝き、目がくらむほどに美しいこと。 「華麗奔放」「錦繍陵羅」「絢爛華麗」「絢爛豪華」「荘厳華麗」「荘厳美麗」「壮大華麗」「美麗荘厳」ともいう。対義語は「簡古素朴」。 ★ 谷崎潤一郎「陰翳礼讃」に用例がある。 《古えの…

ドクリツフキ

独 立 不 羈 他に依存することなく、自分ひとりの所信で決断・行動すること。 「独立独住」「独立独歩」「独立独行」「不羈自由」「不羈自立」「不羈独立」「不羈不絆」「不羈奔逸」「不羈奔放」「不屈不絆」「放縦不羈」「奔放不羈」など類義表現は枚挙に暇…

ジクロセンリ

舳 艫 千 里 多数の舟がはるか彼方まで連なっていること。「舳艫相銜」ともいう。 一説によれば「舳」は舟のへさき(舟首・船首)で、「艫」は舟のとも(舟尾・船尾)のことをいう。「舳」が船尾で「艫」が船首という説もある。「舳船後持梶処。艫船頭刺櫂処…

カッカソウヨウ

隔 靴 掻 痒 靴を隔てて痒きを掻く。靴を隔てて跟を掻く。 思い通りにいかず、歯がゆいこと。もどかしいこと。じれったいこと。フラストレーションが募ること。「隔靴掻癢」「隔靴之憾」「隔靴之掻」「掉棒打星」「隔靴爬痒」とも言う。 対義語は「麻姑掻痒…

ハイトクボツリン

悖 徳 没 倫 道徳に背き、人としての道に外れること。「徳に悖り倫を没す」とも読む。 「背徳不倫」「背徳没倫」「悖徳乱倫」「非義非道」「不義非道」「不義不正」「不義不貞」「不義不徳」「不正不義」「不忠不義」「不貞不義」など、類義語は枚挙に暇がな…

フウセイカクレイ

風 声 鶴 唳 風の音と鶴の鳴き声。または、些細なことに驚いたり、怖じ気づいたりすること。 「萎縮震慄」「影駭響震」「鶴唳風声」「疑心暗鬼」「跼天蹐地」「細心翼々」「小心小胆」「小心翼々」「戦々兢々」「戦々慄々」「草木皆兵」「落ち武者は芒の穂に…

サイカイモクヨク

斎 戒 沐 浴 神聖な儀式を前に、飲食や行動を慎み心身の不浄を洗い清めること。 「精進潔斎」「沐浴斎戒」「六根清浄」「和敬清寂」。 ★ 『孟子』の次の一節が出典である。 《孟子曰、西子蒙不潔、則人皆掩鼻而過之、雖有惡人、斎戒沐浴、則可以祀上帝。》 …

シュウシュボウカン

袖 手 旁 観 そばにいるのに、懐手をして何もせず、成り行きに任せて、ただ見ていること。 「旁観」は「傍観」とも書く。「拱手傍観」「座食逸飽」「酔生夢死」「走尸行肉」「傍観縮手」という言い方もある。 頼山陽「一條天皇論」に「袖手傍観し、敢へて一…

ハンブンジョクレイ

繁 文 縟 礼 法規、規則、礼儀作法などが細々していて、煩わしいこと。形式を重んじるあまり、手続きが煩雑になること。「無用の虚礼」「繁文錯節」「繁文縟節」「繁縟」ともいう。 徳富蘇峰「大日本膨張論」には次の用例がある。 《文明病とは何物ぞ。(中…

カロトウセン

夏 鑪 冬 扇 「夏炉冬扇」とも書く。 夏の囲炉裏や冬の扇のように時期はずれなもの、無用なもの、役に立たないもののことをいう。君主の信用や寵愛を失った者、恋人に捨てられた女性をいうこともある。 「冬扇夏炉」「冬箑夏裘」(トウソウカキュウ)「六菖十菊」(リ…

ゴウキボクトツ

剛 毅 木 訥 意志は強く挫けない性格なのに、無口で飾り気は無い。 「剛毅」が意志が強いことを表し、「木訥」が無口で無骨なことを指す。「木訥」は「朴訥」「朴吶」とも表記する。 対義語は「巧言令色」。類義語には「剛健質実」「剛健質朴」「志操堅固」…

ヒジョヒョウカ

飛 絮 漂 花 女性がつらい境遇のために身を落とし、頼りもなく苦労すること。「飛絮流花」ともいう。 「絮」はもともとは綿の意だが、「細敍絮説」「絮語」「絮煩」「絮々綿々」などというときは「くどくどしくて、窮屈」といった意味にもなる。また、柳の綿…

チョウシンルコツ

彫 心 鏤 骨 「彫」は「ほる」、「鏤」は「きざむ」の意。 心に彫りつけ、骨に刻み込むこと。具体的には非常に苦労して何かを成し遂げること、特に詩文などを苦労して彫琢することをいう。 「刻骨銘肌」「刻骨銘心」「彫肝琢腎」「銘肌鏤骨」「銘心鏤骨」と…

ジャクソウキュウキョ

鵲 巣 鳩 居 巣作りがうまい鵲(カササギ)の成巣に、巣を為すのが不得手な鳩(ハト/フフドリ)の入って棲みつくこと(いわゆる託卵の習性)から、女性が嫁いで夫の家を我が家とすること。あるいは、仮の住まい、さらには他人の地位を横取りすることも意味するように…

スイチョウコウケイ

翠 張 紅 閨 「翠張」は、緑色の翡翠の羽で飾ったとばり。「紅閨」は、紅色に塗り飾った立派な寝室。ともに貴女令嬢の寝室を指す。 『和漢朗詠集』(下・遊女)に、次の用例が見える。 翠張紅閨 万事之礼法雖異 舟中浪上 一生之歓会是同 以言 書き下すと「翠…

ウトソウソウ

烏 兎 匆 匆 「古人は烏兎匆々と言った。月日のたつのが早いことを嘆じたのである。」とは、山本夏彦「変痴気論」による。 年老いて「月日が過ぎるのは早い」と慨嘆する表現は他にもたくさんある。四字熟語ならば「烏兎走過」「烏飛兎走」「兎走烏飛」「露往…

イツボウノアラソイ

鷸 蚌 之 争 無益な争い。 鷸というのは水鳥の一種で鴫かと言われ、蚌は貝の一種で溝貝かと言われるが、まて貝とも蛤とも諸説あって判然としない。出典は『戦国策』で、一般的には「漁父之利」(「漁夫之利」)という故事成語で知られている。だから、「鷸蚌…

イッシャセンリ

一 瀉 千 里 もともとは、流れがきわめて速いさまを「一瀉千里」といった。「一瀉」とは、水がドバッと勢いよく流れ出すときの“流れ出し”を表す。「吐瀉」という熟語を想起すれば、分かりやすいだろう。それが「百里」もの距離を流れ下るのであれば「一瀉百…