ショウシンヨクヨク

小 心 翼 翼 気が小さく、臆病なさま。 もともとは慎重で注意深く、恭しいさまを表す語であったが、転意した。 同義語に「萎縮震慄」「跼天蹐地」「細心翼翼」「小心謹慎」「小心小胆」「戦戦恐恐」「戦戦慄慄」「風声鶴唳」がある。 ★ 『詩経』〈大雅・大明…

ドクガクコロウ

独 学 孤 陋 師匠に就いたり学友に交わったりせず一人で学ぶと、見聞が狭く独りよがりになるということ。 「独学固陋」とも書く。「孤陋寡聞」とも言う。 ★ 戴聖編『礼記』〈学記〉が出典である。 《獨學而無友、則孤陋而寡聞。》 (独学にして友無ければ、…

ダイタンフテキ

大 胆 不 敵 度胸が据わっていて、動じたり恐れたりしないこと。 「豪快奔放」「剛毅果断」「広壮豪宕」「剛胆無比」「大胆千万」「大胆奔放」ともいう。 ★ 近松門左衛門『国性爺合戦』に用例がある。 《「御聞き及びも候はん某は古への鄭芝龍と申す者、只今…

ドクショサントウ

読 書 三 到 読書するには、眼でよく見て(眼到・看読)、口で音読し(口到・音読)、心で会得する(心到・心読)ことが大切だという教え。 ★ 朱熹「訓學齋規」が出典である。 《讀書有三到、謂心到、眼到、口到。三到之中、心到最急。》 (読書に三到有り。…

シリメツレツ

支 離 滅 裂 統一がなく、ばらばらで筋道が立っていないこと。めちゃくちゃ。 「四分五裂」「乱雑無章」ともいう。 ★ 坂口安吾「篠笹の陰の顔」に用例がある。 《発狂といつても日常の理性がなくなるだけで、突きつめた生き方の世界は続いてゐる。むしろ鋭く…

カンカンガクガク

侃 々 諤 々 遠慮なく意見を言い合い、議論が白熱する様子。忌憚なく、直言すること。 略して「侃諤」ともいう。「諤諤之臣」「議論百出」「剛毅正直」「談論風発」「直言極諫」「廷諍面折」「百家争鳴」「面折廷諍」ともいう。 ★ 孔子『論語』〈郷党〉を一…

センペンバンカ

千 変 万 化 種々さまざまに変化すること。めまぐるしく変転し、極まりがないさま。 単に「変化」といい、「千変万幻」「動揺流転」「変幻自在」ともいう。 ★ 列御寇『列子』〈湯問〉が出典である。 《穆王驚視之、趣歩俯仰、信人也。巧夫顉其頤、則歌合律。…

テンシンランマン

天 真 爛 漫 屈託がなく、無邪気なさま。心の赴くままに行動し、明るいこと。 「純真無垢」「性命爛漫」「天衣無縫」「天真独朗」「天真流露」「無縫天衣」ともいう。 ★ 狷潔『輟耕録』が出典とされる。 《嘗て自ら一幅を写すに長さ丈余、高さ五寸許りなるべ…

ムミムシュウ

無 味 無 臭 味もなければ、臭いもしないこと。 転じて、何ら趣がなく、おもしろみに欠けること。 ★ 正宗白鳥「他所の恋」に用例がある。 《詩としても小説としても戯曲としても無味無臭でありさうなそれ等浄化された恋愛談》 比較的新しい四字熟語であると…

イッシンフラン

一 心 不 乱 わきめもふらず、ただ一つのことに心を集中し打ち込むこと。 「一意専心」「一生懸命」「一所懸命」「一心一意」「一心一向」「精神一到」「無我夢中」「無二無三」ともいう。 ★ 菊池寛「恩讐の彼方に」に用例がある。 《が、市九郎は一心不乱に…

シンキイッテン

心 機 一 転 何かをきっかけとして、気持ちをすっかり入れ替えること。 明るい気持ちに切り替えて、新たにやり直すこと。 「飲灰洗胃」「改過自新」「緊褌一番」「呑刀刮脹」ともいう。 ★ 夏目漱石『それから』に用例がある。 《三四年前の自分になつて、今…

リロセイゼン

理 路 整 然 文章や議論などにおいて、論理や筋道が整っていること。 かつては「理路井然」と表記することも多かった。 「順理整章」「条理井然」ともいう。対義語は「支離滅裂」。 ★ 菊池寛「仇討禁止令」に用例がある。 《恒太郎は、成田の怒声にも屈する…

キョウハクカンネン

強 迫 観 念 頭にこびりついて離れず、打ち消そうとすればするほど強く迫ってくる不安や不合理な考え。オブセッション。 ★ 島木健作『癩』に用例がある。 《何とはなしに無気味さを覚えて寝返りを打つとたんに、ああ、またあれが来る、という予感に襲われて…

トクイマンメン

得 意 満 面 事が思いどおりになって、満足した気持ちが顔いっぱいにあふれるさま。 「喜色満面」ともいう。 ★ 太宰治『お伽草紙』に用例がある。 《狸は爺さんに捕へられ、もう少しのところで狸汁にされるところであつたが、あの兎の少女にひとめまた逢ひた…

キヨホウヘン

毀 誉 褒 貶 世間からほめたり、けなされたりされること。 「雲翻雨覆」「翻雲覆雨」ともいう。 ★ 木下尚江『火の柱』に用例がある。 《――姉さん、貴嬢は今ま始めて凡ての束縛から逃れて、全く自由を得なすつたのです、親の権力からも、世間の毀誉褒貶からも…

チュウトハンパ

中 途 半 端 どっちつかずで片づかないこと、不完全で未完成なこと、最後まで徹底しないこと。 ★ 二葉亭四迷「其面影」に用例がある。 《「君は能く僕の事を中途半端だといって攻撃しましたな」》 「平凡」という標題の作者でもあった二葉亭四迷という人ほど…

イントクヨウホウ

陰 徳 陽 報 見えないところで善行を積む者には、必ず目に見える結果がついてくるという教え。 「陰徳恩賜」「于公高門」「善因善果」「不言実行」「陰徳あれば陽報あり」などともいう。 ★ 「陰徳陽報」の典拠は『註千字文』『韓詩外伝』『呂氏春秋』『准南…

ワキアイアイ

和 気 藹 々 なごやかな気分が満ちあふれている様子。 「和気藹然」「和気洋々」ともいう。 ★ 李邕「春賦」が出典である。 《和気藹として寓に充つ》 和らいだ雰囲気が住まいに満ちているという意である。 ★ 谷崎潤一郎「月と狂言師」に用例がある。 《もっ…

リュウビトウジュ

柳 眉 倒 豎 若くて美しい女性が感情的になって怒りをあらわにする様子。 「横眉怒目」「張眉怒目」「柳眉を蹴立てる」「柳眉を逆立てる」「柳眉を釣り上げる」などともいう。 ★ 文康『兒女英雄傅』〈五〉が出典とされるが、残念ながら未見である。 ★ 曲亭馬…

コオウドクマイ

孤 往 独 邁 周りや他人の動向に左右されず、自らの信じた生き方を突き進むこと。 「孤独」「単孤無頼」「単身孤往」「無縁孤独」ともいう。 ★ 田山花袋『生』に用例がある。 《孤往独邁の尊い精神をも鼓吹せられたのだ》 田山花袋は『東京の三十年』にも「…

カンゼンムケツ

完 全 無 欠 どこから見ても欠点がなく、完璧であること。 「完全無瑕」「完全無比」「完美無欠」「金甌無欠」「十全十美」「尽全尽美」ともいう。 ★ 石川啄木「雲は天才である。」に用例がある。 《正真の教育者というものは、其完全無欠な規定の細目を守っ…

タキボウヨウ

多 岐 亡 羊 学問の筋道があまりに多方面に展開しすぎて、真理を見失ってしまうこと。 指針や進路など、人生の選択に迷う場面についても使う。 「岐路亡羊」「亡羊之嘆」ともいう。 ★ 列御寇『列子』〈説符〉が出典である。 《心都子曰、「大道以多岐亡羊、…

ドウセイイゾク

同 声 異 俗 生まれたばかりのときは誰もが同じような声を出すが、成長すると、教育や習慣といった後天的な養素によって人間性に違いが出るということ。 「生まれて声を同じくし、長じて俗を異にする」の略で、「習与性成」(習い性と成る)ともいう。 ★ 荀…

ソウシソウアイ

相 思 相 愛 互いに慕い合い、愛し合っていること。 俗にいう「相惚れ」「両思い」「ラブラブ」。 ★ 田中正造「非常歎願書」に用例がある。 《越へて明治三十四年十二月に至り各地の有志約二千名親しく来りて沿岸被害民を慰問し、谷中川辺二村の人民亦許多の…

チソクアンブン

知 足 安 分 高望みしないこと。自分の身分や境遇に応じ、分をわきまえて満足すること。 「足るを知り分に安んず」とも読む。「知足」と二字で用いることもある。 「安分守己」「一枝巣林」「飲河満腹」「小欲知足」「巣林一枝」「知足守分」「知足常楽」と…

ソッタクドウジ

啐 啄 同 時 絶好の機会。またとないチャンス。 禅の文脈では、師と弟子の呼吸が投合し、悟りを開くことを意味する。 「啐啄同機」「啐啄之機」「啐啄之迅機」などともいう。 「よみうり寸評」(『読売新聞』2010年4月9日夕刊)に「啐啄」が紹介されていた…

シュンプウタイトウ

春 風 駘 蕩 春風がそよそよと気持ちよく吹くのどかな様子。 春風のように穏やかなさま。穏和でのんびりした人柄。 「春光駘蕩」「春色駘蕩」ともいう。「駘蕩」は「駘宕」と書くことも。 いずれにせよ「秋霜烈日」という四字熟語と、著しい対照をなす。 ★ …

シギョシカン

史 魚 屍 諌 史魚のように、自らの亡骸によって主君をいさめること。 史魚は、衛の大夫・史鰌のこと。官は史、名は鰌、字は子魚である。正直な男として知られる。 「史魚屍諫」「史魚至忠」「史魚黜殯」「史魚之直」「史魚秉直」「史鰌屍諌」ともいう。*1 ★ …

モウカヨウソ

孟 軻 養 素 性善説を唱えた孟子の言うように、先人の徳に学びながら、人のもって生まれたままの淑性を手厚く育てていくこと。 「孟軻敦素」ともいう。類義語としては「揚雄草玄」がある。 ★ 李瀚編『蒙求』徐子光補注本の標題に用例がある。 「孟軻養素 揚…

チュウソウヤム

昼 想 夜 夢 目が覚めている昼に思ったことが、夜に眠ったときに夢となって現れること。 ★ 列御寇『列子』〈周穆王〉が出典である。 《子列子曰、神遇夢爲、形接爲事、故晝想夜夢。神形所遇、故神凝者、想夢自消。》 (子列子曰く、神遇ふを夢と為し、形接は…