漢検準一級

リュウビトウジュ

柳 眉 倒 豎 若くて美しい女性が感情的になって怒りをあらわにする様子。 「横眉怒目」「張眉怒目」「柳眉を蹴立てる」「柳眉を逆立てる」「柳眉を釣り上げる」などともいう。 ★ 文康『兒女英雄傅』〈五〉が出典とされるが、残念ながら未見である。 ★ 曲亭馬…

ソッタクドウジ

啐 啄 同 時 絶好の機会。またとないチャンス。 禅の文脈では、師と弟子の呼吸が投合し、悟りを開くことを意味する。 「啐啄同機」「啐啄之機」「啐啄之迅機」などともいう。 「よみうり寸評」(『読売新聞』2010年4月9日夕刊)に「啐啄」が紹介されていた…

シギョシカン

史 魚 屍 諌 史魚のように、自らの亡骸によって主君をいさめること。 史魚は、衛の大夫・史鰌のこと。官は史、名は鰌、字は子魚である。正直な男として知られる。 「史魚屍諫」「史魚至忠」「史魚黜殯」「史魚之直」「史魚秉直」「史鰌屍諌」ともいう。*1 ★ …

ギョウカイサンジャク

堯 階 三 尺 質素な暮らし。 「堂高三尺」「土階三尺」「土階三等」「土階茅茨」「采椽不斲」「茅屋采椽」「茅茨不翦」「藜杖韋帯」「茅茨剪らず采椽削らず」ともいう。対義語に「金殿玉楼」「峻宇雕牆」がある。 ★ 曾先之『十八史略』に、中国古代の伝説的…

バギュウキンキョ

馬 牛 襟 裾 学識がない者。 馬や牛が衣服を着ているという意味から、無教養で礼儀知らずのことをいう。 「牛溲馬勃」「牛糞馬涎」「襟裾馬牛」ともいう。 ★ 韓愈「符読書城南」が出典である。 《人不通古今、馬牛而襟裾》 (人の古今に通ぜざるは 馬牛にし…

コウジンバンジョウ

黄 塵 万 丈 黄砂が風に乗って空高く舞い上がっているさま。あるいは、砂煙が空高く舞い上がっている戦場の様子。*1 ★ 志賀重昂『日本風景論』に用例がある。長くなるが、引用する。 《支那の如き、北方は一面第四紀地層に係り、平々たる水成岩延縁すること…

ウヤムヤ

有 耶 無 耶 1)あるのかないのか、判然としないこと。 2)いいかげんなさま。 もともとは禅の言葉で1の意だったが、いつしか2の意が派生した。 「耶」は疑問の助字。「ありやなしや」と読むこともできるし、「有哉無哉」と書くこともできる。 「曖昧模…

モンゼンジャクラ

門 前 雀 羅 訪れる人がなく、寂れたさま。 「羅」は「網」のこと。もともとは「門前雀羅を張る」だったのが略されたもので、門の前に網を張れば雀がたくさん捕らえられるほど寂れているという意味である。対義語は「門前如市」「門前成市」。 ★ 司馬遷『史…

シチドウガラン

七 堂 伽 藍 寺院の主要な七つの建物。または七つの堂を揃える大きな寺院のこと。 「七堂」は、宗派によって異なるが、古くは『聖徳太子伝古今目録抄』に金堂、塔、講堂、鐘楼、経蔵、僧坊、食堂の七つとあり、禅宗では山門・仏殿・法堂・庫裡・僧堂・浴室・…

ホウトウコウメン

蓬 頭 垢 面 身だしなみが悪く、むさくるしいさま。 「蓬頭」は調髪せず、よもぎのようにボサボサになった不衛生な頭髪を意味する。「垢面」は文字通り、洗顔しない垢と脂だらけの不潔な顔。読み方は「コウメン」でも「クメン」でもよい。他に「蓬髪垢面」「…

コウコクノココロザシ

鴻 鵠 之 志 遠大なこころざし。 「鴻」は「おおとり」、「鵠」は「くぐい」のこと。いずれも大きな鳥であり、そこから英雄や豪傑などの大人物のこころざしを言うようになった。「青雲之志」「図南鵬翼」にほぼ同じ。 ★ 司馬遷『史記』を見ると、正確には「…

シンショウノヘダテ

参 商 之 隔 互いに遠く離れて会う機会がないこと。夫婦や親友が仲違いしたり離別したりすること。読み方は「シンショウノカク」でもよい。 「人生相見えざること、参商の如し」「参商一隔」「燕雁代飛」とも言う。 古代中国では、空の星を二十八の星宿に分…

ラクゲツオクリョウ

落 月 屋 梁 遠方の親友を想う切なる気持ちを「落月屋梁」の想いという。 「屋梁落月」「空梁月落」とも。 わが国に用例を求めてみると、幕末期の漢詩人・中島棕隠の漢詩が見つかった。 《 各天従今抱此琴 (各天今より此の琴を抱き) 切于屋梁看落月 (切に…

ゴカノアモウ

呉 下 阿 蒙 自分の名前が四字熟語になつたら、どんなだらう? しかも「無学な者」という意味で。 「阿蒙」は「蒙さん」「蒙ちゃん」という意味で、人名だ。「阿〜」という言い方は、魯迅の『阿Q正伝』でおなじみだろう。「呉下阿蒙」とは、直訳すれば、呉…

オカメハチモク

岡 目 八 目 はたから見ている方が、当事者よりも情勢を正確に判断できること。「他人の正目」ともいう。 もとは囲碁から来た語。「八目」の「目」は碁盤の目を表してをり、対局者よりも観戦者の方が冷静であるから八目先まで手が見えるというところから来た…

シュウショウロウバイ

周 章 狼 狽 非常に慌てふためくこと。うろたえ騒ぐこと。 「周章」も「狼狽」もともに「慌てる」の意。同意の語を重ねるペアワード式の四字熟語である。 「狼」・「狽」はともにオオカミの一種であるが、「狼」は前足が長くて後足が短く、「狽」は前足が短…

コウトウムケイ

荒 唐 無 稽 言動に根拠がなく、しかも現実離れしていて、全くのでたらめに見えることを「荒唐無稽」という。「荒唐」とは『荘子』天下が出典であり、根拠がなく、とりとめのないことを意味する。他方の「無稽」は『書経』を典拠とし、考えに根拠がないこと…

セイテイノア

井 底 之 蛙 要するに「井の中の蛙 大海を知らず」の四字熟語版だ。「井蛙之見」(セイアノケン)「坎井之鼃」(カンセイノア)とも言うらしい。ただし「井蛙之見」は、日本限定の四字熟語であるため、中国では通用しない。 『荘子』秋水に、こんな逸話がある。古井戸に…

ワコウドウジン

和 光 同 塵 老子の提唱した境地である。其の光を和らげ、其の塵を同じゅうす。すなわち、自分の光り輝く才能や知徳を隠して、世俗の塵にまみれ、慎み深く目立たなく暮らせという教えが「和光同塵」である。他の四字熟語で「内清外濁」(ナイセイガイダク)「韜光…

シュノウハンタイ

酒 嚢 飯 袋 能無しのくせに、ご飯はよく食べるし、お酒は浴びるように飲む。 世の中にはそんな役立たずもいる。そんな役立たずのことを、四字熟語では「酒嚢飯袋」という。あるいは「酒甕邗嚢」「無芸大食」という四字熟語で言い換えることもできる。本当を…