漢検級不詳

ムミムシュウ

無 味 無 臭 味もなければ、臭いもしないこと。 転じて、何ら趣がなく、おもしろみに欠けること。 ★ 正宗白鳥「他所の恋」に用例がある。 《詩としても小説としても戯曲としても無味無臭でありさうなそれ等浄化された恋愛談》 比較的新しい四字熟語であると…

キョウハクカンネン

強 迫 観 念 頭にこびりついて離れず、打ち消そうとすればするほど強く迫ってくる不安や不合理な考え。オブセッション。 ★ 島木健作『癩』に用例がある。 《何とはなしに無気味さを覚えて寝返りを打つとたんに、ああ、またあれが来る、という予感に襲われて…

コオウドクマイ

孤 往 独 邁 周りや他人の動向に左右されず、自らの信じた生き方を突き進むこと。 「孤独」「単孤無頼」「単身孤往」「無縁孤独」ともいう。 ★ 田山花袋『生』に用例がある。 《孤往独邁の尊い精神をも鼓吹せられたのだ》 田山花袋は『東京の三十年』にも「…

モウカヨウソ

孟 軻 養 素 性善説を唱えた孟子の言うように、先人の徳に学びながら、人のもって生まれたままの淑性を手厚く育てていくこと。 「孟軻敦素」ともいう。類義語としては「揚雄草玄」がある。 ★ 李瀚編『蒙求』徐子光補注本の標題に用例がある。 「孟軻養素 揚…

キジュンゴウイツ

帰 順 合 一 対立を超えて一つに合わさること。「止揚」ともいう。 ★ 石川淳「梗概に代へて」に用例がある。 《今日われわれの国では、何が善か、何が悪か、二つの観念がはつきり対立区分されてゐるやうに思はれます。もちろん、この果断決行の時に当つて、…

テンカムテキ

天 下 無 敵 この世にかなうものがいないほど強いこと、優れていること。 「海内無双」「国士無双」「天下一品」「天下第一」「天下無双」「天下無比」「天下無類」「当代随一」「当代第一」「当代無双」「斗南一人」など、類義語多数。 ★ 荘子『荘子』〈説…

チョクリツフドウ

直 立 不 動 真っ直ぐに立ち、じっとして動かないこと。身分の高い人を前にするときの姿勢。 ★ 三島霜川「解剖室」に用例がある。 《彼の傍には、人體の模造――と謂ツても、筋肉と動靜脈とを示せる爲に出來た等身の模造が、大きな硝子の箱の中に入ツて、少し…

コウジンバンジョウ

紅 塵 万 丈 都会に多くの土埃がたちこめるさま。世俗のひどくわずらわしいこと。単に「紅塵」とも。 なお「黄塵万丈」(http://d.hatena.ne.jp/Cixous/edit?date=20091116参照)は音は同じなので類縁性はあるが、別語であると考えたい。 ★ 幸田露伴が娘・文…

エイギョクインセイ

鄙 曲 淫 声 田舎くさくて、洗練されていない音楽のこと。 「雅曲正声に非ず」と同じ。 ★ 幸田露伴「音と詞」に用例がある。 《古来の鄙曲淫声は遠離せられ、天晴れ明治の瑞雲和気の間より雍々と煕々たる正楽の起るべき機運にむかへり。噫楽しい哉》 日本の…

ムショジュウシン

無 所 住 心 禅語。一点だけに集中するのではなく、心を空寂にし、注意が森羅万象に応じて全方位にあまねく漲り渡るようにする心構えを言う。類義語は「応無所住而生其心」(オウムショジュウ ニショウゴシン)、反対語は「一所懸命」「一点集中」である。 金剛般若教「応…

センバイトッキョ

専 売 特 許 1)ある人の発明に対して、その使用権を一定期間、発明者および継承者に認めること。 「特許」「独占販売権」ともいう。 2)転じて、他には真似できない特定の人のみがなしうる特殊な技能を指すようになった。 「特技」「特権」「独壇場」「得…

テンチワゴウ

天 地 和 合 天と地、陰陽両気が一致、和合すること。 「陰陽和合」「自他一致」「神人一致」「人類大和」「天地一指」「万物和合」ともいう。 ★ たとえば『荘子』に「天地一指也。」という一節がある。天地は一本の指であり、差別の世界を超越して見れば、…

ソウゴフジョ

相 互 扶 助 お互いに助け合うこと。「互助」と略すこともある。 「一致協力」「共存共栄」「協力一致」「相互依存」「相互協力」。 ★ もとはロシアの無政府主義者・クロポトキンの社会学説の中心原理の訳語。 進化論者・ダーウィンの思想が「生存競争」「自…

キョクショウヒガン

極 小 彼 岸 人が暮らす理想の場所、原型。Nirvana Mini。 「原点回帰」「故郷回帰」「小乗涅槃」とも言えるか。 島田雅彦「Nirvana Mini 極小彼岸」*1が出典である。以下は、その冒頭。 《人が暮らす理想の場所とはどういうものだろうか? 人類の神話には驚…

グチムチ

愚 痴 無 知 愚かで知恵が浅いこと。仏教の三毒の一。 「迂愚痴鈍」「頑愚痴鈍」「愚痴闇鈍」「愚痴暗蔽」「愚痴鈍根」「愚痴鈍拙」「愚痴蒙昧」等とも言う。 ★ 今日あまり使われないが、古い言葉である。仏典に用例が多い。 『仏説大方広十輪経』に用例が見…

シンシチブンドウ

身 七 分 動 心を十分に動かして、身を七分に動かせという教え。演劇用語。 「動七分身」「動十分心、動七分身」とも言う。 ★ 世阿弥「花鏡」が出典である。 《たとひ急なる能を、御意によりて仕るとも、心中に控へて、さのみにもまで、身七分動を心得て、な…

ナンセンザンミョウ

南 泉 斬 猫 (意味不明、解釈不能) 「南泉」は、禅僧の名前。南泉普願。「斬猫」は「ネコヲキル」と読んでもよい。 ★ 禅宗の公案の中でもとりわけ難解とされるものの一つ。 無門慧開『無門関』の第十四則には、こんな話がある。 唐の時代。南泉和尚という…

ミョウアンソウソウ

明 暗 双 双 昼と夜、表と裏、差別と平等、現実と理想、創造と破壊、自と他、個と普遍、ことわりとはたらき、清と濁、色と空……等々の二項が対立することなく一水に融合した宛然たる禅の一境地。 「迷悟双双」「理事不二」「理事無礙」「理事無礙法界」「兼中…

ビンシサエン

鬢 糸 茶 烟 若かりしとき派手に遊び耽っていた男も、年老いては閑寂な生活を送りつつ青春の日々を偲ぶという、そんな心境。ただし「鬢糸茶烟の感」「茶烟鬢糸の感」という風に「の感」を伴うのが通例のため、四字熟語としては掲出されないことが多いようだ…

バンリカイタク

万 里 開 拓 遠大な荒野を切りひらくこと。大業を成し遂げること。 「万里長風」「万里之望」とも。 さて、友人の失敗を慰め、励ますのは、殊の外、骨が折れることである。 慰める側の軸がぶれると沈鬱な気持ちがこちらにも伝染してきて、ついには共倒れに終…

テッコツテツズイ

徹 骨 徹 髄 骨身にしみて痛感すること。物事の核心まで達すること。 「骨髄に徹す」という表現の、いわば四字熟語版。 夏目漱石『吾輩は猫である』に用例がある。 《ややあって主人は「なるほどきたない顔だ」と独り言を云った。自己の醜を自白するのはなか…

ホクナンナンニョ

北 男 南 女 北の男と南の女は相性がよいという意味。 朝鮮半島の四字熟語で、韓国(南朝鮮)の側からは「南女北男」ということもあるらしい。 池田弥三郎『日本故事物語』が、これに類する日本語を多く教えてくれる。「東男に京女」「名古屋女に宮男」「津…

キンガシンネン

謹 賀 新 年

イチロクショウブ

一 六 勝 負 伸るか、反るか。一が出るか、六が出るか。要するに、ばくちの意。天に運を任せた賭けだ。 「一の裏は六」という言葉がある。さいころの一の裏は六であることから、悪いことの後には良いことがあるという意味だ。 「一か八か」という言葉もある…

レイリコウカツ

怜 悧 狡 猾 こざかしく、ずるがしこいこと。 太宰治『人間失格』に次の用例がある。 《世渡りの才能。……自分には、ほんたうに苦笑の他はありませんでした。自分に、世渡りの才能! しかし、自分のやうに人間をおそれ、避け、ごまかしてゐるのは、れいの俗諺…

シンピネツゾウ

神 秘 捏 造 権威ありげな科学や宗教の言葉を適当にパッチワークして、意味を恣意的にぼかすことを「神秘捏造」という。ただし、この四字熟語はどの辞書にも載っていない。 この四字熟語の用例は、太宰治に2件。「兄たち」や「女人訓戒」に出てくる。それ以…

ライデンヘキレキ

雷 電 霹 靂 急に雷が鳴り響き、稲妻が走ること。 雷を表す四字熟語はいくつもある。「電光雷轟」「雷轟電撃」「雷轟電転」「雷霆万鈞」……。しかし、私は「雷電霹靂」を偏愛する。 「霹靂」は、今や辛うじて「青天の霹靂」という表現だけが有名なようだが、…

リョウシンコウケイ

良 辰 好 景 佳き日の佳き情景のこと。「良辰」は「色葉字類抄」によれば「ヨキトキ」とある。おめでたい日、吉日、吉辰、佳辰の意だ。「良辰美景」ともいう。 この四字熟語について、苦情というか、質問を受けたことがある。辞書を引いても、載っていない、…

ジコホンイ

自 己 本 位 エゴイズム。要するに、自己中心主義のことである。反対語は、他人本位。 この問題は、バランスが非常に難しい。たとえば、話は脇道へと逸れるが、音楽や文章を考えてみよう。演奏家は誰のために演奏するのか。もちろん、聴いてくれる人のためで…

ビョウショウリトク

病 症 利 得 ‘ gain ’ この名詞は、電子工学の分野では、受信機・増幅機などの入力信号レベルに対する出力信号レベルの割合のことを指す。‘ gain control ’ と言えば、入力信号レベルが変化しても、出力信号を一定に制御することを表すそうだ。 「病症利得」…